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中島祥貴税理士事務所
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納税者は、 取締役Aに対して 支払った賞与は、 常時使用人としての 職務に対するものであり、 損金算入されるべきと 主張したが、 課税庁は、 その会社の出資持分を 有していること等から、 使用人兼務役員には 該当せず、 その賞与相当額は 損金不算入である として争われた 事案である。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【納税者】、 Aを 取締役としたのは、 Aを 会社の経営に 従事させるためではなく、 肩書きが 必要であったために、 Aを 設立以来 役員に 就任させていた。 出資の持分の判定は、 税務署に 提出している 関係書類の記載にかかわらず、 実質上の資本金200万は、 代表取締役甲が 個人で所有していた 車両等を 現物出資したものであって、 甲が 出資のすべてを 所有しており、 設立後においても、 Aは 出資持分の譲渡や 贈与を 受けたことはなく、 Aは、 名義上 出資者となっている にすぎない。 取締役Aは、 班長という 納税者の使用人としての 職制上の地位を 有し、 Aの仕事の内容は、 他の班長と同様 現場作業に従事しているほか、 従業員の送迎、 休日の機械の整備や 機械の運転等を 行っており、 使用人としての 職務に 従事している。 税務署は、 甲の出張が多いことから、 甲の不在中は Aが代行して 経営に従事していると 主張するが、 甲の出張の多くは 現場の状況視察と 指揮監督等の ためのものであり、 関係団体のための 不在は 年に6日間程度である。 また、 納税者の業務の内容は、 主として 直轄請負であり、 現場には 同社の監督員が 立ち会い、 その指示に従って 納税者の使用人が 作業をしているので、 経営者が 不在でも 何ら経営に 支障をきたすことはない。 したがって、 税務署の主張は 的を得ていない と主張した。 【税務署】、 取締役Aは、 使用人兼務役員と されない役員に 該当するから、 賞与の額を 損金の額に 算入することはできない。 甲の弟であるAが、 法人設立時から 50万円の出資を 所有する 社員であり、 かつ、 取締役に 就任していることは、 納税者が 税務署に提出している 法人設立届出書、 同添付書類 並びに 納税者の昭和52年10月11日から 昭和53年9月30日までの 事業年度分の 法人税確定申告書 (別表二のⅡ「同族会社の判定に関する明細書」) に明記されていることから 明らかである。 上記で述べたとおり、 Aが 納税者の資本金200万円のうち 50万円の出資を 所有していることから、 Aは 法人税法施行令71条1項4号に 規定する 要件の すべてを満たしている 役員である。 納税者は、 Aを 使用人としての 職務を有する 役員であると 主張するが、 Aは 各工事現場の班長を 指揮監督する 立場にあって、 Aの職務の内容は 他の使用人の職務の内容と 同質のものとは 認められないことから、 Aは 使用人としての 職務を有する 役員ではない。 納税者の 昭和56年9月期分の 法人税確定申告書に 添付されている 損益計算書の 旅費交通費から 甲の出張日数を 換算すると、 納税者の事業日数の 過半数は 甲が 出張で不在となり、 加えて、 甲は 他法人の役員を 兼ねているから、 この役職のため 出張日数が さらに増加することとなり、 多数の工事現場と 労務者を 抱えた 特殊な技術・労務提供の 事業内容と 経営規模からみても、 甲のみが 経営に従事しているとすることには 合理性がない。 したがって、 Aは 納税者の 経営に 従事していたと 認めるのが 相当である と主張した。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── どちらの主張が 正しいのでしょうか? いきなり、裁決を見るのではなく これはどういう判決になるか すこし考えてみてください。 税務というと 決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、 そもそも税法に則った判断処理のこと なのです。 その判断処理を間違えると 払う必要のないキャッシュが 会社から失われてしまう可能性があります。 この判断処理を 今まで間違っていた納税者の割合や なんと7割以上(国税庁のHPより) 判断処理 大丈夫ですか? 本来の裁判判決は 難解で読むづらいものになっていますので、 読みやすいように多少 書き換えています。 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 【裁判官の裁決】、 設立時の資本金200万円について、 甲は、 Aが現金で払い込んだ事実はなく、 甲が 個人で所有していた 車両、器具、備品等を 現物出資して 充当したと 答述している。 また、 納税者の顧問税理士は、 納税者の資本金200万円は 現金により 払い込まれたこととして 納税者の 会計帳簿の記帳を 開始し、 昭和53年9月30日に 甲が 個人で所有していた 車両4台を 購入して、 この未払金2,926,000円のうち 1,048,200円と、 備品、消耗品等を 甲から購入した 代金951,800円とを 合わせて 200万円を 現金で 支払ったことにして 記帳開始時に 過大計上した 現金を 消去したもので、 実質的に 甲が これらの資産をもって 資本金に 充てたものである と答述している。 前記の事実によれば、 出資割合の状況から Aは、 「使用人兼務役員とされない役員」 に形式的には 該当するものと 認められるが、 上記各事実によれば、 設立に際し 甲の所有資産をもって 納税者の資本金200万円の 全額に 充てたことが 認められ、 Aが 設立時に 出資金の払込みをした 事実が認められない。 また、 Aが 設立後において 出資持分を 取得した事実も 認められない。 したがって、 Aは、 実質的に 納税者の出資を所有していたことがないものと 認められるから 「使用人兼務役員とされない役員」 に該当しないものと 認めるのが 相当である。 元従業員等の答述と 納税者が保存している 各事業年度の 使用人の作業内容を 記載している 日報によれば、 Aは、 納税者の使用人としての 職制上の地位である 班長として 常時現場作業に 従事しているほか、 冬期間は 納税者の事業の一部の作業に 従事している 事実が 認められる。 以上のとおり、 Aは、 使用人としての 職務を有する 役員に該当し、 Aに支給した 本件賞与の額は 各事業年度の 損金の額に 算入するのが 相当である とした。 「国税不服審判所 昭和58年10月28日裁決」 ────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ─────── 役員であるか どうかの判断として 「経営に従事」しているか どうかが 問われます。 「経営に従事」しているか どうかは 次のようなことに 携わっているか どうかで 判断します。 1、重要な取引(売上、仕入)の計画、決定 2、資金調達、資金計画 3、従業員の採用・解雇や給与・賞与等の決定 4、大規模な設備投資の計画・決定 使用人兼務役員が 使用人であるということを 立証するためには 職務内容を 組織図、業務日誌、日報等で 明確にしておくことが 大切です。 ご相談、ご不安なことが ありましたら、 お気軽に 中島税理士・行政書士事務所まで お問い合わせください。 セカンドオピニオンとしても 税務調査対策としても ご提案を致しております。
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