IT業専門の港区六本木にある税理士・会計事務所です。IT業で相談するなら当事務所にお任せください!
中島祥貴税理士事務所
〒106-0032東京都港区六本木4-1-1 第二黒崎ビル6F
0120-535-114
営業時間 | 9:00~18:00 土日・祝日を除く |
---|
\お気軽にお問合せください/
1.役員退職金の原則的な取り扱い
一般従業員の退職に伴い退職金を支給する場合には、その支給金額は、就業規則や労働協約などに基づいて算定されるケースがほとんどでしょう。したがってその計算に客観的な根拠があるため、退職金の経費算入について問題とされることはほとんどありません。これに対し、経営者である役員が退職した場合には、もともと雇用契約が存在しません(会社と役員との関係は委任契約となります)から、いわば経営者が自分で自分にお金を払うようなことになり、恣意的なお手盛りの計算が行われる危険性が大きくなります。
そこで会社法は、会社が役員退職金を支給する場合には、株主総会でその金額等を決議しなければならないと定めています。税法もこの決まりに従い、原則として株主総会で支給決議がされ、その支給が確定した事業年度において損金として扱うことにしています。
ところがこの原則を厳格に貫くと、不都合な事態が生じます。たとえば事業年度の中途で役員が病気等により死亡退職した場合、その事業年度中に仮払処理により退職金を支給しておき、翌事業年度に入ってから株主総会を開いてその承認を受けることとなると、実際の支給の時期と税法上の損金算入時期とが一致しなくなるという事態が生じるわけです。そこで税法は、このような不都合を回避するため、実際の支給があった日の年度において損金として処理することも認めています。つまり、原則は株主総会による確定年度、ただし支払ベースでの損金算入もオーケー、というわけです。
2.役員退職金の分割支給
そこで、質問のような退職金の分割支給が行われた場合、その処理がどうなるかが気になるところですが、そのやり方には次の二つの方法が考えられます。
①確定年度において全額を損金として処理し、翌期支払額は未払金の精算とする。
②各事業年度において支払う都度、その事業年度の損金とする。
結論から申し上げると、①、②のどちらの方法も認められます。既にご説明したように、退職金の損金算入時期は、確定年度または支払ベースのどちらでもいいからです。ただし税法は、役員退職金を利益調整の手段とすることまでをも認めているわけではありません。したがって、たとえば今期は利益が出たから2千万円支払、翌期は赤字なので支払ストップ、などというような非合理的な支払方法は否認される危険性が高くなります。分割払いをするなら、計画的に、しかもなるべく短期間で支払が完了するようにすべきであることはいうまでもありません。
3.退職金を受け取る役員の税務
退職金は、これを受け取る役員にしてみれば「退職所得」という所得となり、当然に所得税・住民税の課税問題が生じます。ただし退職所得は、他の所得とは区分して課税される「分離課税」の適用を受けることになっていますし、しかも原則として適正税額が源泉徴収される仕組みとなっていますから、本人が税金問題で頭を悩ませる必要はあまりありません。
法律の仕組みとしては、総会決議のあった年の所得として認識することになっていますが、実際の処理としては、支給総額が確定した段階で源泉徴収すべき所得税額の総額が確定され、分割支給を受ける場合には、その支給を受ける金額に比例して源泉徴収税額も分割徴収することになります。
港区六本木のIT業専門 税理士・会計事務所
0120-535-114