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中島祥貴税理士事務所

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子会社株式の評価損はいつ損金の額に算入できるのか!?【税務調査】

2019-07-02
納税者は、

納税者が販売する
住宅を施行する子会社である
H社の発行済株式の
全部を保有しており、

平成19年3月期の
期首における
保有株式数は600株。

1株当たりの帳簿価額
50.000円
であった。


納税者は、
平成19年3月26日に

取締役会を開催し、
「H社の増資並びに減資に関する件」
を承認可決した。
(以下、当該議案に係る再建計画を「本件再建計画」という)


納税者は、
上記の承認可決に基づき、
H社の増資において、

発行株式1.000株のすべてを
1株当たり50.000円で引き受け、

平成19年3月○日に
50.000.000円
払いこんだ。


その結果、
納税者は、

H社の発行済株式の
すべての株式を保有しており、

保有株式数は1.600株
(帳簿価額の合計は、80.000.000円)、

その1株当たりの帳簿価額は
増資前と同じ
50.000円であった。


(ア)平成19年3月期の経理処理

納税者は、
平成19年3月期において、

H社の増資に伴う
株式の払込日と同日である
平成19年3月○日付で、

関係会社事業支援損失金として
関係会社株式の帳簿価額から

増資と同額の
50.000.000円を
減額したが、

平成19年3月期の
法人税の確定申告においては、

同額を
所得の金額に
加算することにより、

平成19年3月期の
所得の金額の計算上、

損金の額に
算入しなかった。


(イ)平成20年3月期の経理処理

納税者は、
平成20年3月期の
法人税の確定申告において、

上記(ア)により
所得の金額に加算した
50.000.000円のうち

平成20年3月期末における
H社の資本金の額と
純資産価額との
差額に相当する

金額35.415.613円を、

納税者が保有する
H社の株式に係る
有価証券評価損
(以下「本件株式評価損」という)
として

帳簿価額の評価換えをし、

平成20年3月期の
所得の金額の計算上、

損金の額に
算入した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【納税者】、

本件再建計画は、

目標達成と
業績評価を
目的とする
管理会計的なものであり、

本件再建計画の実現には
多くの不確実性が伴うので、

本件再建計画をもって
回復可能性の
判断をするのは

誤りである。


本件株式評価損は、
本件増資の後
一年を経過した時点において
判断しており、

翌朝も業績の回復が
見込めないことが
確実であったことから

評価損を計上したものであり、

平成20年3月期の損金の額に
算入されるべきである。


平成20年3月期終了の日における
同社の1株当たりの純資産価額は
14.658円であり、

平成19年3月期の終了の日における
H社の1株当たりの帳簿価額は
50.000円であり、

70.68%の下落がある。


この事実は、

「その有価証券を発行する
 法人の資産状態が
 著しく悪化したため、
 その価額が
 著しく低下したこと」

に該当する

と主張した。



【税務署】、

納税者は、
H社のむこう
3ヵ年の本件再建計画に基づいて、

本件増資を引受けており、

本件再建計画の
3年経過した後において

有価証券の評価減を
行うべきか否かを
判断して、

株式の評価損の
計上を
検討すべきである。


したがって
本件株式評価損は、
平成20年3月期の損金の額に
算入することが
できない。


「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化した」
かどうかについて
判断すると、

平成20年3月期の終了の日における
H社の1株当たりの純資産価額
14.658円は、

本件増資のあった
平成19年3月○日における
同社の増資後の
1株当たりの純資産価額は
13.108円と比較すると、

1株当たりの純資産価額は
増加しており、

1株当たりの純資産価額が
おおむね50%以上
下回ることとなった旨の
基準に該当せず、

H社については、
平成20年3月期末に、
「資産状態が著しく悪化した」
事実は認められない

と主張した。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

どちらの主張が
正しいのでしょうか?


いきなり、裁決を見るのではなく
これはどういう判決になるか
すこし考えてみてください。


税務というと
決算書の数字や申告書をイメージするかもしれませんが、
そもそも税法に則った判断処理のこと
なのです。


その判断処理を間違えると
払う必要のないキャッシュが
会社から失われてしまう可能性があります。


この判断処理を
今まで間違っていた納税者の割合や
なんと7割以上(国税庁のHPより)


判断処理
大丈夫ですか?


本来の裁判判決は
難解で読むづらいものになっていますので、
読みやすいように多少
書き換えています。

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

【裁判官の裁決】、

法人税基本通達9-1-12は、
原則として
親会社が
子会社に
増資をした場合、

有価証券評価損の計上を
認めないとしており、

本件増資は、
原則として
計上が認められない場合に
当たる。


しかし、
同通達は、

ただし書で
「増資から相当の期間を経過した後において」
評価換えによる
帳簿価額の減算額を

有価証券評価損の計上として
認めることとしている。


「相当の期間」とは、

増資払込後において
その業況等の推移を見る期間
ということであるから、

通常少なくとも
1〜2年を要すると考えられるが、

例外的には
客観的に明確な事情があれば、

1年未満となる
翌期でも
評価減が認められる場合も
あり得ると考えられる。


平成20年3月期の
損金計上時期は

本件増資から1年が経過していること、

またH社は、
その資産の状況が悪化し、
翌期も業績の回復が見込めないとして
本件再建計画を
見直したことなどの
事情によれば、

本件においては
必ずしも
本件再建計画の3年を
経過した後でなければ

本件株式評価損の計上を
検討できない
とするのは相当ではなく、

納税者が
損金算入した

平成20年3月期において
検討して

本件株式評価損の
損金の額の
算入の可否を

検討することが
できるというべきである。
 
 
本件増資に係る
株式取得直後における

H社の1株当たりの純資産額は、
16.862円と認められ、

平成20年3月期の終了の日における
1株当たりの純資産価額は、
14.658円。
 

つまり、
平成20年3月期の終了の日における

H社の1株当たりの純資産価額は、

納税者が株式を取得した時の
H社の1株当たりの純資産価額の
本件増資直後における金額を
約13.1%下回っていることとなり、

資産状態が著しく悪化したことの
具体的判断基準である

「おおむね50%相当額」を
下回ってはいない。


したがって、
H社について、
「資産状態が著しく悪化した」
事実が生じていたと
認めることはできない

とした。

「国税不服審判所 平成22年5月24日裁決」

────── ∞ ────── ∞ ────── ∞ ───────

「近い将来回復の見込みがない」
場合には、

有価証券の評価損や

定期同額給与の
減額を

認めると

通達では言っています。


「近い将来回復の見込みがない」とは
なんでしょう?


会社が潰れるほどの状況になっているとき?

社長がやる気がなくなっているとき?

商品、サービスが売れずに赤字が続いているとき?

だったら、それは何年間?何ヶ月?


会社を経営している以上、
悪い状況が
ずっと続く、

回復して
売上を伸ばすことを
考えない人は
いないはずです。


そんな状況でも
市場は冷酷なもので
売上が上がらない。


結果、回復できなかった。


「近い将来回復の見込みがない」
の判断は
いつできるのでしょうか?


その答えを
この判例では
述べています。


「近い将来回復の見込みがない」
とは1〜2年以上ではなく、

客観的に明確な事情があれば

翌期でも
構わないと。


これは、
有価証券の評価損や

定期同額給与の
減額を

考えるときに
大いに
参考になる事案です。


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